将来に対して準備しておきたいとお考えの方の中には、知的障碍者は後見人なしで相続できるのか知りたい方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では、知的障碍者が後見人なしで相続できるのかどうか、知的障碍者が後見人なしで相続する方法についてご紹介します。
□知的障害者は後見人なしで相続できるのか
成年後見人をつけずに相続手続きを進めることは可能でしょうか。
相続人のうち、知的障害や精神障害、認知症を抱えている場合、通常は成年後見人を指定することが推奨されています。
しかし、この「通常は」という表現には一概に正確とは言い切れない要素が含まれています。
知的障害や精神障害、認知症を抱えていても、成年後見人を指定せずに遺産分割協議を行える場合があります。
遺産分割を進める上で必要なのは、遺産分割協議ですが、これには意思決定や判断力が不可欠です。
判断力が欠けている者が行った遺産分割協議は法的に無効となります。
では、意思決定能力や判断力の有無を誰が判断するのでしょうか。
最終的には裁判所がその判断を下します。
そのため、意思決定や判断力が不確かな状態で遺産分割協議を進めるケースが珍しくないのです。
逆に言えば、遺産分割協議が可能な程度の能力がある方でも、知的障害や精神障害の存在だけで成年後見人を指定されることがあるということです。
□知的障害者が後見人なしで相続する方法
法定相続分を利用して相続手続きを進める際、遺産分割協議が必要ない法的な枠組みが存在します。
法定相続分で相続財産を分け合う場合、成年後見制度を利用する必要はありません。
例えば、不動産登記において法定相続分の持ち分で名義変更を行う場合、遺産分割協議書の添付は不要とされ、相続人の一人から相続登記を申請できます。
しかしながら、金融機関などの銀行や証券会社では、法定相続分の分割に関わらず遺産分割協議書の提出を求めることがあります。
特に、認知症や障害のある相続人がいる場合、「成年後見人を指定しないと名義変更ができない」という状況になることがあるため、注意が必要です。
遺産分割協議書がなくても預金口座の凍結を解除する手続きは可能ですが、結局は相続人全員の署名が必要であり、相続税の申告が必要な場合には遺産分割協議書が要求されることもあります。
認知症や知的障害、精神障害があっても、意思能力や判断能力に問題がない場合は、成年後見人を指定せずに相続手続きを進められます。
ただし、最終的な判断は裁判所が行うため、慎重な対応が求められます。
また、精神障害の症状が波のように変動する場合、症状が収まっている時に遺産分割協議を行うことも可能ですが、この判断は一般市民には難しいため、最終的には裁判所が介入することになります。
不確実性がある場合は、後に遺産分割協議が無効とされる可能性も考慮しておくべきです。
□まとめ
相続人のうち、知的障害や精神障害、認知症を抱えている場合、通常は成年後見人を指定することが推奨されています。
しかし、知的障害や精神障害、認知症を抱えていても、成年後見人を指定せずに遺産分割協議を行える場合があります。
意思決定能力や判断力の有無は、最終的には裁判所がその判断を下します。
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